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交通事故で加害者側が保険を使わない理由とは

2020年7月8日

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交通事故で加害者側が保険を使わない理由とは

2020年7月8日

 

こんにちは! Naga-sanです。 

今現在、私は某大手損害保険会社で交通事故対応の仕事をしています。

そこで、このブログ内でもそこで経験した事をお伝えしていこうと思っています。

 

お伝えしたい内容は盛りだくさんなので、いずれは別サイト化したいと考えていますが、

それには時間も要するので、先ずは、このサイトでお話ししていきます。

 

損保会社事故対応担当者が語る、その1回目は「交通事故で加害者側が保険を使わない理由」についてです。

 

交通事故で加害者側が保険を使わない(使いたくない)理由は?

 

車をお持ちの方は、

当たり前ですが任意で自動車保険に加入していると思います。

ところが、、、

自動車保険に入っていない!というケースがあったのですが、これについては別記事で、、、。

 

さて、自動車保険に入っているのは、

加入者自身が事故を起こしてしまった場合、その損害を補償するために入るわけです。

 

加入者自身が怪我をした場合や車の損害の補償もそうですが、

一番の理由は、事故を起こし損害を与えてしまった相手に対する補償に備えるためです。

 

だれも事故を起こそうと思って運転している人はいないと思います(保険金目当てで起こすケースもありますが、これも別の機会にお話しします)

 

が、、、

 

万が一起こしてしまった場合、

加害者側として相手の怪我の治療費や、

物損(車、自転車、身に着けていた物等)を補償しないといけません。

 

その万が一の為に入っているのが自動車保険です。 

 

ところが、、、

自分が加害者として事故を起こしてしまい、

相手が被った損害(物損や怪我)に対して、自動車保険を使わないケースがあります。 

 

なぜ使わないか?ですが、、、

自動車保険を使って相手の損害を補償すると、次回契約時に自動車保険金額が上がってしまうからです。

 

通常3等級ダウンし、20等級の契約者は17等級となり、

17等級の保険料が次回の契約時の金額となります。 

 

この保険料アップを避けるために自動車保険を使わず、

加害者自身が被害者の損害額を直接支払う場合があります。

 

まあ、被害者の損害が物損だけであれば、

損害金額と保険料アップの金額を比較して、有利な方を選択する事もありだと思いますが、

 

中には相手の怪我対応についても保険を使いたくない!

と言ってくる契約者(加害者)がいます。

 

怪我の治療費は通院日数によっても違いますし、

怪我をさせた事に対する慰謝料も支払う必要があります。

 

等級ダウンによる次回保険料アップと比較できるようなものではありません。

 

それでも保険を使いたくないと言ってくる加害者側の意図には、

自賠責保険というものがあるからです。

 

自賠責保険でカバー出来る120万円以内で怪我対応を終わらせて欲しい!

 

自賠責保険、車やバイクをお持ちの方はご存じだと思います。

車やバイクを保有している人は必ず加入しないといけない強制保険ですね。(この自賠責保険については、今年(2020年)の4月に改訂されて慰謝料等の内容も変わりましたので、いずれ別記事で詳しくお伝えしたいと思います。) 

 

自賠責保険の目的は、

交通事故で怪我をした被害者を救うための保険です。

 

かなり昔に「交通戦争」と言われた自動車事故が多発していた時期がありました。 

 

そこで亡くなったり怪我をされた人を救う為に国が制定したのが自賠責保険です。 

 

この自賠責保険、

怪我の場合は120万円まで補償してくれるものです。

 

120万円の中に含まれるのは、

治療費、通院で必要となった交通費、

事故で休業してしまった分を補償する休業損害費用、

そして、怪我で通院した日数に応じて支払われる慰謝料などがあり、

これらの分全てを合わせて120万円まで自賠責保険で賄う事ができます。

 

この120万円で賄う事が出来なかった怪我対応については、

任意で加入している自動車保険で補償していく事になります。 

 

つまり、、、

 

自賠責保険で賄える120万円以内で怪我対応の補償が済んだ場合、

任意の自動車保険を使わなくて良いわけです。

 

そう、もうお分かりだと思いますが、

任意自動車保険を使わなければ、等級ダウンはせず、

保険料は上がらないという事になります。

 

このため、、、

 

一部の契約者(加害者)から

「怪我対応は自賠責保険内で終わらさせて欲しい!」

という要望があったりするわけです。 🙁 

 

怪我対応について、「自賠責保険内で賄います」と保険会社は約束できない

 

「今回の事故、相手の車の損傷は軽微だし、怪我も大きくない。相手の物損補償は保険を使わないから、怪我対応については自賠責内でお願いしますね!」

 

なんていう要望をしてくる契約者(加害者)が時々います。

 

その時の保険会社の回答は、、、

「お約束はできません。結果として自賠責内で終了したら保険料金はアップしませんが、基本、事故を起こした場合は、等級ダウン前提で考えて下さい。その前提でないと、被害者の方と示談交渉できません!」

 

という返事になります。

 

そうすると、、、

 

「保険会社は任意保険を使わせて保険料をアップさせたいからだろ!!」

なんて言ってくる方も、ごくわずかですが居たりします。(^^;  

 

勘違いとして、自賠責が120万円以内というところです。

 

軽微な怪我だから120万円も掛からないだろう!

って思っているようなんですが、、、

 

120万円とは、自賠責保険で認定される基準の中でという事ですので、

その基準以外の支払いは任意自動車保険で支払う事になります。

 

例えば、、、

交通費は通院交通費は自賠責で支払えますが、

基本、通勤交通費は対象外になります。(怪我の影響でタクシーで通勤したとか) 

*状況によって認められる場合もあります。

 

また、

示談交渉で提示した自賠責基準での慰謝料に被害者が納得できない場合、

任意保険から慰謝料を上積みしたりする事もあります。 

 

まあ、契約者(加害者)側の気持ちも分からないではないのですが、

保険会社のスタンスしては、

上記の通りになっているという事を理解して欲しいんです。

 

 

交通事故で加害者側が保険を使いたくない気持ちは分かるが...。

 

契約者(加害者)が事故を起こしてしまった際、

その事故内容に因っては任意保険を利用したいくない気持ちも分かります。

 

しかし、、、

 

自分が被害者の立場になってしまった場合、

加害者側からは最大の補償をしてもらいたいと思うはずです。 

 

交通事故は自分が十分注意しても発生してしまう事があります。 

 

自動車保険とは、

そのような万が一の時に必要となるものです。 

 

加害者にも被害者にもなる可能性が交通事故にはあるという事を認識して欲しい!!」って、

 

この仕事を経験すると、つくづく思うわけです。

 

ではまた... 犬

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