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交通事故に遭った際の慰謝料計算方法について

2020年8月12日

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交通事故に遭った際の慰謝料計算方法について

2020年8月12日

 

こんばんは! Naga-sanです。 

 

本日のテーマは、交通事故に遭った被害者がもらう慰謝料の計算方法についてです。

(損保会社事故対応担当者が語る自動車保険関連のお話し第4回目)

 

弁護士サイトでも色々と解説されていますが、

今回は損保会社の事故対応担当者がお伝えする「慰謝料」計算についてです。

 

ぜひ、弁護士サイトの内容と比較してみて下さい。

実際に、私が日常業務でやっている事ですので、間違いないです!!  😀  

 

因みに慰謝料と賠償金の違い、分かりますか?? 

 

簡単に言うと、慰謝料は賠償金の中の1つの項目です。

交通事故の賠償金の項目はザックリ分けると以下の通りです。

 

一番多い怪我の場合を例にした場合、、、

 ・治療費 

 ・看護料 

 ・通院交通費 

 ・義肢(装具)費用 

 ・診断書費用 

 ・休業損害 

 ・慰謝料 

 ・後遺障害慰謝料(該当した場合)等々 です。 

 

慰謝料は賠償金の一部なんですね。 

 

この慰謝料、、、

弁護士サイトでは、「弁護士に依頼した方が増額できますよ!」的なものが多いです。

 

確かに基準的にはそうなのですが、、、

事故の内容にも因りますので一概には言えないと思います。 

 

交通事故の慰謝料は以下の3つの基準で計算されます。

 

1. 自賠責基準  

2. 任意保険基準  

3. 弁護士基準(赤い本基準)

 

では、それぞれの基準についてお話ししていきます。

 

自賠責基準の慰謝料計算について

 

先ず、以前の記事でも書きましたが、 

自賠責には支払限度額があり、

その金額は被害者1名につき傷害(怪我)120万円、死亡3,000万円、後遺障害4,000万円となっています。

 

今回は、一番ケースの多い傷害(怪我)について説明します。

 

自賠責の慰謝料の計算は、基本、実通院日数が基準になります。 

 

事故に遭って通院開始してから怪我が回復し通院終了する間の実通院日数が20日間だった場合、

20日(実通院日数)×2 × 4,300円 = 172,000円 が慰謝料となります。

 

ただし、実通院日数の2倍と通院期間を比較した際、

通院期間の方が少ない場合は、少ない通院期間×4,300円となります。

ちょっと分かりずらいですかね!(^^;  

 

例を出すと、、、 

9月1日に通院開始し11月30日に通院終了したとします。

この間の通院期間は91日ですよね。 

 

この通院期間中の実通院日数が50日だった場合、

50日×2=100日ですので、自賠責基準ですと、

少ない通院期間の91日×4,300円=391,300円が慰謝料となります。

 

お分かり頂けたでしょうか? 

 

実は、自賠責の通院期間の考え方は、

通院終了時の転帰(怪我の状態)によっても違ってくるのですが、

それについて説明すると混乱しますので、ここでは省きます。 

 

余談ですが、お怪我された被害者の方が、

たくさん通院すれば慰謝料が上がると思って接骨院に毎日のように通院される人がいますが、、、

この自賠責基準を考えると、ですよね! 

 

更に、自賠責の傷害(怪我)での支払限度額は120万円です。

これは慰謝料だけではなく、賠償額のトータルです。

 

治療費や通院交通費や休業損害等々、

そして慰謝料も含めて全ての金額を合わせて120万が支払限度額です。 

 

たくさん通院すれば治療費も高くなりまし、

交通事故の治療費は自由診療扱いですので結構な額になります。

120万円の限度額は意外と簡単に超えてしまうんですね。

 

この金額を超えると、

損保会社の担当者は、任意保険の基準で慰謝料を計算する事になります。

 

せっせと毎日通院したからといって、慰謝料が多くなるわけではないのです。(^^;

積極的にはお伝えできないのですが、

慰謝料を多くもらえる通院の仕方というのはあります。

上記内容をジックリ読み込むと、その答えは分かると思いますが...。 😈 

 

まあ、事故で怪我をした方が、

保険金欲しさに通院の仕方を研究するなんて考えたくないですけどね!(-_-;)

 

 

任意保険基準の慰謝料計算について

 

さてさて、賠償金の計算を最初は自賠責基準で行うのですが、

限度額の120万円を超えてしまうと、

任意保険の基準に切り替えて計算します。(ここでも傷害慰謝料の通院の場合のお話しです)

 

この任意保険基準は損保会社によって若干違うようですが、

ほぼ似たり寄ったりと聞いています。

 

任意保険基準の慰謝料の考え方は、

慰謝料金額アップ率が時間の経過とともに徐々に低くなっていくという事です。

 

これは、時間が経過していけば怪我も回復し、

精神的にも落ち着いていくだろうという想定です。

 

事故当初の3か月間は12万程度つづ上がり3カ月目の慰謝料は36万円程度、

その後アップ率が少しづつ抑えられ、事故後6カ月目の慰謝料は64万円程度となります。

 

この基準を元に通院期間によって慰謝料を算出していきます。

 

これは入院の場合でも同じ考え方で、

慰謝料の金額が入院の場合の方が通院に比べて高いというだけです。 

 

弁護士サイトの説明では、

慰謝料の基準は自賠責が一番低く、

次に任意保険の基準、

弁護士基準が一番高く有利です! という解説が多いですが、

 

自賠責基準と任意基準を比較した場合、

必ずしも任意基準の方が高いという結論にはなりません

 

通院頻度や期間にも左右されますので、

場合によっては自賠責基準の慰謝料の方が高い場合もあり得ます。

まさにケースバイケースです。

 

そして重要な点がもう一つ、、、。

任意保険基準での慰謝料計算では、過失割合が考慮されるという事です。

 

自賠責基準(120万円)内では、過失割合は問われず計算しますが、

任意保険基準では、過失割合を考慮して算出します。

 

そうすると、自賠責基準内であった場合の方が、

任意保険基準の場合より慰謝料が高くなるケースもあり得るのです。

 

因みに、この過失割合が考慮されるのは、弁護士基準でも同じです。

 

弁護士基準(赤い本基準)について

 

最後に弁護士基準(赤い本基準)についてです。

 

慰謝料基準が一番高く、弁護士サイトでは、

「あなたの交通事故慰謝料、安くありませんか? 一度、弁護士へご相談を。ご相談料金は無料!」とか

「自賠責基準や任意基準で安易に示談しないうように!!」

みたいな感じのフレーズが多くうたわれています。

 

確かに慰謝料基準としては、

弁護士基準が一番高く設定されていますが、本当にそうでしょうか??

 

因みに、この弁護士基準を赤い本基準と言う事もあります。

その理由は、この基準をまとめた本が赤いからという単純な理由です。(^^; 

 

さて、弁護士基準の慰謝料の考え方は、任意基準の慰謝料の考え方と似ています。

 

事故当初から時間の経過とともに怪我は回復していくという考え方で、

徐々に慰謝料のアップ率が抑えられえていくというものです。 

ただし、任意基準と比較すると、ベースの慰謝料が高くなっています。 

 

以下に弁護士基準の慰謝料表を添付します。 

赤い本基準(別表Ⅱ)

赤い本基準(別表Ⅰ)

2つありまして、怪我の内容によって違っています。

上段が頸椎捻挫(むちうち症)などの打撲捻挫系(別表Ⅱと言います)、

下段が打撲捻挫系以外(別表Ⅰと言います)の場合です。 

 

それぞれ、縦ラインが通院、横ラインが入院の場合です。 

 

例えば、むちうち症(頸椎捻挫)で通院を6カ月した方ですと、

別表Ⅱ縦ライン6にある数字の89万円が慰謝料となります。 

任意保険基準の場合ですと6カ月ですと64万円くらいですから25万円ほどの差が出てきます。

 

打撲捻挫系でない場合は別表Ⅰになりますから、

弁護士基準ですと116万円となり、

任意保険基準とは更に差がでる事になります。

 

「やっぱり弁護士に頼んだ方が得じゃん!」って思われると思いますが、

それは事故内容に因りますので、単純ではありません。

 

事故の大きさや怪我の状況によって、弁護士委任するかどうか決めるべき

損保会社で交通事故の怪我対応している担当者から言うと、

事故の大きさや怪我の状態によって弁護士委任するかどうか判断すべきと考えます。 

 

大きな追突事故で頸椎や腰椎を捻挫された方ですと、

レントゲン上で骨に異常はなくても痛みやシビレが残ってしまうようなケースがあります。

 

本当のお気の毒なのですが、

このような被害者の方は、後遺障害の認定手続きも含めて弁護士に委任されるべきです。 

 

弁護士サイトには、

保険会社は加害者側の味方で、極力慰謝料を抑えようとしています

みたいな記載を見かけた事がありますが、そんな事は絶対ありません

 

大きな事故で怪我された方には適切は治療費と賠償金をお支払いしたいと考えていますし、

場合によっては弁護士と相談される事をお勧めしています。 

 

逆に、大きな事故でもなく、

怪我も大した事ないケースでも弁護士基準で支払いを求めてきたり、

実際に弁護士委任される被害者の方もいます。

 

保険会社は被害者の方に直接弁護士基準の慰謝料を提示する事はしません

 

ネットで情報を得たのでしょうが、

たまに「弁護士基準で慰謝料を提示しろ!」と言ってくる被害者がいますが、

これは出来ません。

 

被害者が弁護士委任して交渉相手が弁護士となって、

初めて弁護士基準をベースに交渉に入ります。 

 

それでも、事故内容や怪我の大きさに因っては弁護士基準の請求を拒否したり、

納得されない場合は訴訟に発展する事もあります。

 

事故の程度や怪我状態を総合的に見て判断しますから無謀な慰謝料請求には、

損保会社は毅然と対応していきますし、しないといけない立場にあります。

 

「弁護士委任さえすれば慰謝料が大幅に上がる!」という単純な考えは、

持たれない方がいいと思います。 

 

委任を受けた弁護士側が困るようなケースも多々あります。 🙁 

弁護士サイトにある慰謝料の考え方は、

大きな交通事故に遭い、

怪我で大変な思いをしてしまうケースに当てはまるものです。

 

さて、今回は交通事故で怪我された方の慰謝料を中心にお伝えしまた。

どこの損保会社でも基本的な慰謝料の対応方法は変わらないと思います。 

参考にしてみて下さい。

 

ではまた... 犬

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