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交通事故の物損で慰謝料はもらえる? 修理費は全額支払ってもらえる?

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交通事故の物損で慰謝料はもらえる? 修理費は全額支払ってもらえる?

こんにちは、Naga-sanです。

今回は久しぶりに自動車保険関連の記事です。その7回目になります。 

 

内容は物品損害に対する自動車保険の考え方です。

交通事故に遭ってしまった場合、物品損害と人身損害(怪我)の2つの損害を被る可能性があります。

 

幸い、怪我がなかった場合は損害を受けた物品に対しての補償だけになりますが、今回は、保険会社が案内する物品補償内容ついてお伝えします。 

 

今回の記事の内容は、、、

 

です。 

 

物品損害の考え方の基礎で、損保会社にいると当たり前と思っている内容なのですが、意外と知らない方もいると思いますので、改めてお伝えします。

 

物品損害に対する慰謝料ってあるの?

 

「大事に乗っていた愛車を壊されてしまった。修理費以外に精神的損害に対する慰謝料を請求したい!」

みたいなお話し、損害保険会社の事故対応担当者をしていると、必ず経験します。

 

車だけでなく、自転車や身に着けていたもの(時計や貴金属、着衣等)に対しても、

そのような請求をしてくる被害者の方はいます。

 

気持ちは非常に分かるのですが、

物損損害に対する慰謝料という考え方は、、、残念ながらありません。 😔

 

慰謝料は怪我をされた場合、

治療終了後に案内する賠償金の1つとしてありますが、物損の賠償には存在しないのです。 

 

更に、物損で揉めるのは、その賠償額の考え方です。

 

基本、修理できる場合は修理費を支払いますが、

必ずしも修理費全額を支払うという考え方ではありません。

 

損害を受けた車の現時点での市場価格と比較し、支払える修理代は、その市場価格を超えない金額までとなります。

 

具体的な例を挙げてみましょうね! 

例えば、5年前に購入したプリウスに乗って信号待ちしていたところ、後方から来た車に追突されてしまった。

この場合、被害者の過失はありません。100(加害者):0(被害者)の事故です。 

そして、そのプリウスの事故時の市場価格が80万だったとすると、

80万を超える修理費は支払えないという事です。

 

実際の修理費が90万必要だったとしても保険会社から支払われる金額は80万までとなり、

差額の10万円は自己負担となるという事です。

 

「え~、自分には一切過失がないのに、それって変じゃない!」って、必ず言われます。 

「はい、気持ちは十二分に理解しますが、保険の考え方は、こういうものなのです!」 

 

「じゃあ、差額の10万円は、加害者へ直接請求するわ!」っていうパターン、

頻繁にありますが、保険会社は加害者から全てを委任されて事故対応していますので、

加害者に文句を言っても、「全て保険会社に任せているので、保険会社と交渉して下さい」という事になります。 

 

という事で、

ここから被害者と保険会社で妥協点を見出すための示談交渉となっていくわけです。

 

なお、今回の例は、被害者に過失がない事故の場合ですが、

過失がある場合は、更に過失を考慮しての賠償額の提示となります。

 

このあたりは「過失割合の考え方」でお伝えします。 

 

*注意:修理費と市場価格の差額まで補償する特約に入っている場合は差額をお支払いする事ができますが、この特約に入っている方は少ないです。(また、対象は車とバイクに限られます)

 

物品損害の全損とは?

 

さて、物品損害の考え方で「全損」というものがあります。

 

この全損という言葉だけ聞くと、「使いものにならないくらい壊れてしまった状態」とイメージしたくなりますが、

損保会社でいう「全損」とは、前述した市場価格を上回る修理費となった場合の事を言います。

 

車でしたら、その車の市場価格が30万円だとして、

修理した場合に50万円必要となったとしたら、その車は「全損」扱いとなり、実際の補償額は30万円となります。

 

車やバイクでしたら市場価格と修理費用との比較になりますが、自転車だったらどうでしょうか? 

 

一般的な自転車(ママチャリ含む)ですと、減価償却した費用と修理費を比較する事になりますが、

10万円以下の自転車でしたら、修理できるものであれば修理費用を支払うのが一般的な考え方です。

 

修理できない場合は減価償却した費用を案内しますが、

その金額は余りに安い場合は少し考慮して案内したりします。

 

自転車でも有名ブランドのロードバイクなどの高級自転車の場合は、

車やバイクと同様に市場価格を参考にする事もあります。

 

これ以外の物損損害については、基本は減価償却を考慮した賠償となりますが、これについては「減価償却について」で、もう少し詳しくお話ししますね。 🙂

 

過失割合の考え方、決め方

ここでは「過失割合」について、損保会社での考え方と決め方についてお伝えします。

 

物損の損害賠償については、

この過失割合をどうするか?で賠償する金額の内容が決まってきますので、「過失割合」は重要なファクターになります。 

 

100(加害者):0(被害者)のような事故の場合は、過失論争はないので、被害者と加害者保険会社が交渉をします。

 

一方、加害者、被害者双方に過失割合が発生する場合は、お互いが加入している保険会社同士での交渉となります。

 

まあ、車対車でしたら、保険会社間でも交渉は当たり前ですが、

車対バイク、車対自転車、車対歩行者だった場合はどうでしょうか? 

 

車対バイク、車対自転車、

これについても過失割合が発生する場合保険会社同士での交渉となる事が一般的ですが、その場合はバイク側、自転車側も任意保険に加入している事が前提です。 

 

原付バイクの場合、車保有者でしたら一緒に補償する特約を付けている方は良いですが、

時々あるのが、自賠責保険にしか加入していないケースです。

 

この場合は、保険会社との直接交渉しなければならないので結構大変です。

ですので、、、

バイクでの任意保険加入はマストと考えておきましょう。

 

そして自転車の場合についてですが、

自転車保険に加入する方法もありますが、個人賠償保険に加入しておくのが一番良いと思います。

 

このあたりは、

以前の記事(自動車保険で最低限入っておくべき内容(おすすめ)について)を参照ください。 

 

そしてそして、車対歩行者の場合ですが、、、

この場合は加害者側保険会社と怪我をした被害者間での交渉というのが一般的です。

車対人ですので、車の損害(物損)は基本ありませんからね。  

 

さて、次に過失割合をどうやって決めていくか?ですが、

これは過去の判例を参考にして決めていきます。

 

保険会社の事故対応担当者は「別冊判例タイムズ」という本を必ず持っています。

この本に書かれている様々な判例と実際の事故状況を比較して過失割合を決めていきます。 

加害者側と被害者側の主張、ドラレコ映像があれば、それを確認して「別冊判例タイムズ」と照らし合わせていきます。 

 

担当者だけでは判断が難しい場合は、

専門の担当者が加害者と被害者と面談、事故現場の確認等を行って決めていく事になります。

 

「え、過失割合って警察が判断するんじゃないの?」って思っている方がいますが、それは違います 😬

 

警察は、加害者と被害者の区別はしますが、具体的な過失割合は判断しません。

 

そして、損保会社で判断した過失割合を加害者側、被害者側に提示し、

最終的に加害者側と被害者側が納得した過失割合で、お互いの損害を補償するという事になります。

 

減価償却について

 

減価償却という考え方は、車やバイク以外の物品損害額を提示するためのベースになります

 

減価償却のそもそもの考えは、

「年月が経つことによって劣化したり性能が落ちたりしてその価値が減っていく」というもので、

損保会社では、この考え方で車やバイク以外の物品損害の価値を決めて補償額を案内します。 

 

例えば、、、

 

普通の自転車だと耐用年数は2年とし、

30,000円で購入したものは2年後の最終残価は3,000円の価値になってしまうという考え方です。

 

最終残価は購入価格の10%です。

 

電動アシスト付き自転車だと耐用年数は4年で、

100,000円で購入したものが、4年後の最終残価は10,000円という事になります。

 

この耐用年数というのが物品によって細かく決められていて、

購入してから何年経過したかで価値を決めていくわけです。 

 

損害補償の基本は、直せるものは修理した費用を支払い、

修理できないものは、減価償却という考えで価値を決めて、その金額を補償額として案内するというのが基本です。

 

「え~、事故に遭わなかったらまだ乗れていた自転車が、購入してから2年以上経っているから3,000円しか補償されないなんて、納得できない!!」っていう声が聞こえてきました。 😅

 

確かにその通りでして、減価償却した物品価値は、あくまで基本的な考え方ですので、

四角四面にこの金額しか提示しないという事ではありません。

 

ただし、購入した時の金額を補償するものではない!という点だけは理解しておかないといけません。 

 

また、加えて過失割合という要素も絡んできますので、

自身にも過失が生じている事故の場合は更に補償額が減るという事も念頭に置いておく必要があります

 

 

ではまた... 犬

 

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